どんな仕事でも続けてきたからこそ、わかることがあります。
タクシーの求人をみても良いことばかり書いてあって細かいデメリットまで書いてあるものはほとんどありません。
こんにちは都内でタクシー運転手を続けてきて12年になりますmasakiです。
わたしはタクシーの仕事に向いているからこそ苦になることなく続けてこれました。
タクシー業界の人員は流動的です。
私の会社でも何人ものかたがやめていきました。
やめていくからには理由があります。
その理由の大半は、これからあげるタクシーの仕事のデメリットに耐えられなくなりやめていったと思われます。
入社したてのときはだれしも長く働きたいと思ったはずです。
これからタクシー業界で働きたい方、興味があるかたのためにあらかじめデメリットをあげさせていただきます。
読んでいただいてこんなデメリットもあるのかと参考にしていただいたら幸いです。
「不安に感じる」デメリット
交通違反に対するリスク
違反に対するプレッシャーと常に戦っています。
当たり前のことですが、タクシー運転手は免許がなくては仕事できません。
交通違反を繰り返したり、人身事故をおこして免停になってしまったら路上にでて営業できなくなってしまいます。
最悪免許取り消しになってしまったりしたら仕事を追われかねません。
職業ドライバーなので一般のドライバーよりも運転している時間がながく、また乗客のリクエストにより勝手知る道だけを走るわけではありません。
乗客によっては急がされたり、急な進路変更を要求されることもあり違反を犯してしまうリスクもあがるのです。
例え小さな違反でも累積で免停になってしまうので、違反が重なったりしてしまうと仕事が出来なくなる恐怖がわいてきてさらに不安が高まります。
事故に対するリスク
やられても自分が起こしてしまっても事故に対する損失はタクシー運転手の仕事につきまといます。
小さなことでは事故処理にかかる時間の損失から、大きなものでは重大事故に巻き込まれ命を失う危険もあるのです。
自分の起こしてしまった事故では、違反のリスクと重なる部分もありますが、免許にキズがつきます。
大きな人身事故を起こしてしまうと免許取り消しにつながりかねません。
やられ事故のケースでも後遺症が残ったり、死亡事故のリスクも付きまといます。
タクシーに限ったことではありませんが職業ドライバーの宿命として事故に対するリスクと不安に常に戦っています。
気象条件に対するリスク
タクシー運転手はいつも良いコンディションのみに営業するわけではありません。
あらかじめ決められたシフトに応じて、時には過酷な道路環境の日に営業を強いられる時もあるのです。
例えば雪の日だったり、台風の日、近年よくある集中豪雨(アンダーパス内での冠水リスクが高まります)などです。
そんな時は公共交通機関がマヒしてタクシーの需要が高まり売上も上げやすくなりますが、事故のリスクもたかまります。
地理に対する不安
不慣れな土地では事故違反を犯しやすくなります。
タクシー運転手の仕事は乗客のリクエストにより慣れない土地を走るケースもよくあるからです。
私はタクシーのキャリアが12年になります。
確かに始めたばかりの新人さんよりも経験も知識も豊かです。
でも営業地域内のすべての道を把握することは不可能です。
ましてや営業区域外にお送りするときなどはなおさらです。
道を間違えてしまった時のお客様からのクレーム、知らない土地での事故違反のリスクは常に付きまといます。
トイレ問題
特に頻尿の方やお腹の緩い方は要注意です。
お客様をお乗せすると普通はトイレにいきたくても我慢しなくてはなりません。
どうせ近場だろうとお乗せしたお客様が、遠方利用のお客様だったりしたらもう地獄です。
その様なケース以外でも近くにトイレがない場合、回送にしてムダ走りをしなくてはいけないので、営業時間をロスしてしまいます。
また路上駐車してトイレに行っていると取り締まられて違反切符を切られてしまうリスクもあります。
「不満に感じる」デメリット
労働時間が長い
タクシーの隔日勤務の場合は、一般の仕事二日分を一日通しで働くイメージです。
通勤時間も半分に減らせ自分の自由の時間を得れるというメリットもありますが、体力や気力が長時間持続しない、またすぐ眠くなってしまうかたにはデメリットになります。
タクシーの仕事は歩合制ゆえに、営業時間が直接収入につながります。
体力や気力が持続しない、また眠くなってしまうかたは必然的に休憩時間がながくなり収入が減ってしまいます。
もちろん無理して働いてしまうと、目先の収入以上に事故のリスクが高まり最悪人生自体をうしなってしまいます。
乗客に対するストレス
われわれタクシーの仕事はお客様を選ぶことは出来ません。
お客様の乗車を正当の理由がなく断ることは禁じられています。
ほとんどのお客様が良いお客様ですが、まれに困るお客様もお乗せします。
酔っぱらって指示がままならない
ご乗車されるときに住所を教えてくれればいいのですが、困るのが後で指示するといって寝込んでしまうかたです。
そういう方の特徴として要所のポイントで起こすと「まっすぐ」としか言わないことがよくあります。
再度確認するとそんなことは言っていないと怒りだすかたも中にはいます。
酔っぱらって車内にはかれる
何よりも一番困るのが車内ではかれることです。
お客様にこちら側からクリーニング代を請求することは禁じられています。
失った時間の損失を補填することが出来ないのです。
車内にはかれてしまうと、そのまま次のお客様をお乗せすることが出来ないので基本は営業所に帰って清掃して出直しです。
清掃に大幅な時間が割かれ、営業所などまでの移動時間も大きな損失となります。
決められた帰庫時間までの時間があまりない場合はそのまま営業終了となります。
寝込み客
寝込んでしまったお客様をおこす時間も営業時間の損失です。
タクシー運転手の決まりとして寝込み客の体に触れることは禁じられています。
起こす場合は大声を出したり、冷房の冷気で起こすなどの工夫が必要です。
でも正直男性のかたなら軽くゆすったりふとももをたたいたりしてしまっています。
仮に女性の場合は、あとで大きな問題になるので絶対体にはふれませんが。
こちら側で起こす努力をしても起きないかたもいます。
最終手段は110番をして警察官のかたにきてもらって起こしてもらいます。
いずれにしても起こすのに時間がかかればかかるほど営業時間の損失につながります。
抑圧的な乗客
こちら側に落ち度のないように対処すれば業務的には問題ないのですが、やはり精神的なダメージを負う事もあります。
いわれのない暴言をはかれてトラウマになることも。
いわゆるカスタマーハラスメントってゆうやつです。
引きずってしまうとその後の営業に影響が出てしまいます。
クレーマー
タクシー業界に限ったことではありませんが、今の世の中クレーマーが問題視されています。
タクシーの乗客でもクレーマーのかたを乗せてしまうと、小さな言葉尻をとらえられてその日の営業だけでなく会社に連絡がいって問題が長期化する場合があります。
会社で話が収まればまだしも、タクシーセンターに苦情が入ってしまうと厄介です。
こちら側に落ち度がなくても、弁明のためにタクシーセンターに足を運ばなくてはいけなくなり、大変な労力と苦痛を味わされます。
競争意識にさらされる
タクシー会社では運転手の売上ランキングを公表している会社も多くあります。
公表することで会社側も競争意識をうえつけ、結果的に会社の売上アップにつなげるのです。
常に売上が良ければ優越感に浸れる部分もありますが、売上が低いと落ちこぼれになったようなせつない気持ちになります。
売上自体はあくまで個人の所得に直結するものなのでプライベートなものですが、潜在的に競争意識をうえつけられます。
健康管理が厳しい
お客様を安全に輸送する仕事なので当然ですが、運転手の健康管理には厳しいです。
タクシー会社には年二回の健康診断が義務づけられており、結果によっては改善しなくてはいけなかったり最悪乗務できなくなってしまう事もあります。
例えば血圧の高いかたは改善されるまでは、毎出番血圧を測定し正常な血圧でないとその日は仕事できなくなります。
不規則な勤務体制のため不摂生になりがちなタクシー運転手の仕事ですが、健康管理には常に気を遣わなければいけません。
不規則になりがちな生活習慣
一般の方のように毎日決まった時間に食事を食べて、毎日決まった時間に理想的な睡眠をとる事が出来なくなります。
タクシーの隔日勤務は不規則な勤務体制です。
昼日勤は別として、夜勤や隔日勤務をする場合勤務体制に合わせた生活リズムにしなくてはなりません。
タクシー運転手で稼ぐためには運転技術が上手で接客がよくても、タクシーの勤務体制に慣れる体質がもとめられます。
明け番会や様々な講習会がある
一か月に一度の明け番集会を開催するのはタクシー会社に馳せられた義務です。
内容的には月ごとの営業数値の報告や注意点などで私の会社では一時間ほどで終了します。
また会社ごとに様々な講習会が開催されることがあります。
その様な講習会は私の会社では明け番集会と併設され、長い時は3時間くらいかかることもあります。
それらはタクシーの仕事の営業時間外に開催されるので、一か月に一回ほどではありますが、体力的に負担になります。
何しろ通しの隔日勤務明けに行うものですから。
損保などに加入する際に危険な職業とみなされる
私の加入している損害保険の所得補償保険では職業を選択する場所でタクシー運転手を選択すると、一般のサラリーマンよりも保険料が上がってしまいます。
仕事柄損保会社から危険度の高い職業と認識されているようです。
社会的地位が低く民度が低いとみなされる
現実的に再就職先の受け口として、タクシー業界で働くかたの年齢層は高いです。
いつでも免許さえ持っていれば雇ってくれて、だれでも簡単にできる仕事と認識されることが多いです。
流石に最近ではあまり聞きませんが、タクシー運転手への差別用語で「雲助」なんて言葉もあります。
「雲助」と呼ばれる人々が江戸時代の宿場などで駕籠かきや川渡しに携わっていて困っている人の弱みに付け込みぼったくりを行っていたことになぞらえてタクシー運転手のことをそう呼んだりします。
今はぼったくりなんてしてしまうと不正行為で大問題になり懲戒解雇になりかねませんが。
また一般の方も利用する公衆トイレには、タクシー運転手が書いたであろう民度の低い落書きが散見されますし、路上喫煙するタクシー運転手などもイメージの低下につながっているのかもしれません。
誰にも働けるというイメージと、モラルのない運転手の行動が目立ちいまだにタクシー運転手自体のイメージはあまりよくありません。
会社での人間関係
路上に出れば個人プレーのタクシー運転手。
しかし会社に属している以上様々な人と関わり合いをもちます。
一般の会社のように上司と部下のような密な関係ではありませんが、中にはストレスを感じてしまう事もあるのです。
嫌な管理者
運行管理、配車係いわゆる内勤と言われている人たちです。
特に年配の勤続数が長いベテランの内勤のかたは癖の強い人も多くいます。
ちくちく売上や営業スタイルのことに関して嫌みを言ってくる人や、自分の権限を使って運転手を抑圧してくるなどです。
一般的に売上の高い運転手より、古株の内勤のかたの収入は低いです。
もちろん全員そうではありませんがなかには卑屈になって自分の権限をつかい運転手をいじめる古株のかたもいるのは事実です。
先輩づらする同僚
同じ運転手同士でもなかには嫌な奴がいるのも事実です。
働いている年数を重ねれば年功序列の意識も薄れてくるのですが、特に新人のときには入社日がたった数か月の差で先輩づらする人が多くいました。
本人の性格によるところも大きいと思いますが、経験や知識がものをいう職業柄ですから実績のない新人の頃には少し得た知識を、後から入ってきた人にひけらかす心理が働くのかもしれません。
「お給料」に関するデメリット
伸びしろが少ない
タクシーの給料は青天井にあがることはないという事です。
それはタクシーのメーター料金が決められていて、月に働ける最大の労働時間が決められているためです。
タクシーの給料は歩合制です。
新人の頃は吸収することも多く、新しく試すことがうまくはまると売上も徐々に上がっていきます。
最も稼げるエリアを選択することや労働時間をしっかりと消化するという要素も大きいですが。
自分のスタイルが決まってくると運に左右される要素も少なくなりほぼ給料も安定してきます。
しかしどんなに凄腕のタクシー運転手でも月給にしてせいぜい総支給で80万が限界であり、年収にすると1000万以上を得るというのはほぼ不可能な話です。
景気に左右される
タクシーの需要が増えればわれわれの給料が上がり、需要が下がれば給料が下がります。
景気が上がれば企業の業績が上がり接待などでタクシーを使う機会も増えます。
また景気が上がって個人の消費が上がればレジャーや観光の支出が増え、タクシーを使う機会もふえます。
よく景気の動向を知りたければタクシー運転手に聞けといわれています。
タクシーの売上の良し悪しは景気のバロメーターになっているのです。
ボーナスがない
タクシーの賃金体系で名目上ボーナスありという賃金体系がありますが、それは毎月の給料からボーナス分をストックして一定の月に支給するものです。
つまりボーナスとは名ばかりで、年収にするとあるとなしでは一緒です。
会社によっては表彰金と言う形で売上の優秀な方や無事故の方に支給する会社もありますが、サラリーマンのように決まった月に月給の何か月分を支給するというようなものはありません。
いろいろな要因で稼働時間を削られる
タクシーの給料は歩合制です。
稼働時間が削られると売上が下がり給料が減ってしまいます。
時には様々な要因で労働時間を削られてしまうこともある
メーター検査
タクシーの料金メーターは一年に一回必ず受けなくてはいけません。
メーター検査の日程はあらかじめ会社が決めていて、日程と自分の出番が合ってしまった場合は担当の運転手が検査に行かなくてはいけません。
メーター検査には本検査をスムーズにするために予備検査もあります。
二つ同時に行った場合は検査する場所もちがいますし大まかな時間も決められているので、大幅な労働時間のロスになります。
私の会社では雀の涙ほどの保証給はつきますが、営業時間の損失を補うには到底及びません。
車両トラブル
様々な理由で車両トラブルに見舞われることがあります。
タクシーも車ですから一般の車両と同じでパンクやライトなどの車両トラブル、タクシー独自の装置であるメーターやクレジット端末、無線機器の故障などがあげられます。
その様なトラブルに見舞われた場合は、営業所まで帰って車両を乗り換える手間がかかり労働時間をロスしてしまいます。
事故
例えやられ事故だとしても必ず警察に連絡して事故処理をしなくてはいけないので、労働時間のロスにつながります。
事故処理は担当警察官が現場まで来るまでの待機時間と、実際の処理時間がかかります。
また軽いへこみなどの場合ならそのまま営業を継続することも可能ですが、大きな傷やへこみ、ライトの割れなどの場合は営業所へ戻り車両の乗り換えが必要となります。
乗り逃げ、金銭トラブルなど
強盗事件に巻き込まれるなど大きなトラブルに会う確率はそれほど大きくないかもしれません。
しかし乗り逃げやクレジットカードの不正利用などはキャリアが長い運転手の方なら一度は経験したことがあるのではないでしょうか。
被害を受けた場合は警察に被害届を出す必要があります。
被害届を書くにも時間がかかり、書いたからと言って失った時間的な損失を補う事はできません。
低額の乗り逃げ案件は時間的な損失の方が大きいので、泣き寝入りしてしまうかたも多いです。
まとめ。デメリットから見える適正と注意点
ちょっと愚痴も混じったかもしれませんが、私がこれまで働いてきて感じたデメリットをあげさせてもらいました。
あげたデメリットで「そんなことたいしたことないよ」と言えるものが多い方はタクシーに向いている方です。
ただし冒頭であげた「事故と違反の不安」のみは、タクシーの仕事を続けている以上絶対に付きまといます。
逆に「俺は絶対に事故違反はおこさない」と言い切る方がいれば考え直した方が良いかもしれません。
事故違反に対する不安な気持ちがあればこそ、危機意識が生まれるのです。
タクシーの仕事は業務面でもプライベートでも自由度が高いです。
自由を活かすも殺すも自分次第という事です。
給料も歩合制なので成果を出したければしっかり動かなくてはいけません。
仕事以外のプライベートの時間もたっぷりある仕事なので、趣味を充実させたい方、家族との時間を増やしたい方、勉強したい方などやる気次第で充実させられます。
今回は私がタクシー業界で12年働いてきて感じたデメリットをならべてみました。
正直合う合わないはあると思いますが、デメリットを受け入れつつタクシー運転手としての適性をみたしていれば東京都内であれば一般のサラリーマンの平均より稼げる仕事です。
まずは何よりもタクシーの仕事を続けていくために最重要な事は、事故を起こさない、違反をおこさないこの二点につきます。
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